忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

森林セラピー(3)早朝に多い放散物質
(YOMIURI ONLINE, 2008/9/5)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080905-OYT8T00279.htm

すっかり有名になったフィトンチッド。
マイナスイオンやポリフェノールと並ぶ、健康ブームの代表選手です。




フィトンチッドで一儲けしたい向きには申し訳ないのですが、
商売に水を差すようなことをあえて言わせてもらうならば
フィトンチッドは、植物が外敵から身を守るための毒物です。
毒物という言い方が俗すぎるなら、他感作用を持つ揮発性の
有機化合物の群、と言ったほうがよいでしょうか。

森の精が人間の健康を祈ってフィトンチッドを放散している、
なんて考えはとてもromanticでfantasticだけれども
熾烈な生存競争が繰り広げられている現実の自然環境
(つまり森林)はそんなに甘い場所ではありません。
食うか食われるかの環境で、生存のための強力な武器として
生み出されたのが、このフィトンチッドなわけです。

ひとくちに他感作用と書きましたが、多感作用は対象によって
プラス効果、マイナス効果、さまざまな効果を与えます。
同一対象でも、濃度や他物質との相互作用で与える効果が
変わったりしてきます。
今のところフィトンチッドの人間に対する他感作用としては
リラックス効果がはっきりしているわけですが、
だからといってフィトンチッドが人間にプラス効果だけを
持つと考えるのは非常に安直で危険。
リラックスが本当にプラス効果か、という疑問も残ります)
少なくとも植物にとっては、人間をリラックスさせることが
生存に有用であることは確かですが。
人間にとって森林が不快でしかない場所だったならば
先進国の森林は、前世紀のうちにほぼ地球上から消えて
しまっていたことでしょう。


その種類の多さと複雑な構造ゆえ、フィトンチッドの人間への
影響はあまり解明されていません。
明確なことは、普通の森林浴程度なら健康に対する悪影響は
ほとんど無いだろう、という経験に基づく推論くらいです。

強調しておきますが、植物由来の天然成分だから絶対安心!
なんてのは都市伝説です。まずあり得ません。
嘘を承知で言っているならただの詐欺師ですし、
本気で信じて言っているのならただのカルトです。
 サクラ葉由来のクマリンは多量摂取で肝機能障害を引き起こしますし
クローブ由来の代表的なフィトンチッドであるオイゲノールも

過剰に摂取すると、血尿・痙攣・下痢・吐き気・意識喪失・
めまい・動悸などの症状があらわれる。
皮膚に触れるとアレルギー反応により皮膚炎を起こすことがある。
(
Wikipedia)

というような毒性が認められています。
基本的に他感作用を持つ物質は、それがたとえプラス効果で
あっても、過剰摂取してしまえば毒としての作用がより
顕著になります。


まあ、森林浴程度ならあまり怖がることはないのですが。
詐欺的な健康商品のセールストークに乗せられて
フィトンチッド
→健康によい
→濃縮エキスで超健康に!
→体調崩してトホホ

なんてことにならないよう、早朝の森林を散歩して
爽やかな風を楽しむくらいに留めておくのが良いかも
しれません。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ブログ内検索
最新コメント
[08/15 Atsushi]
[08/15 ルシフェール]
[08/15 Atsushi]
[08/15 ルシフェール]
[05/15 Atsushi]
カウンター
プロフィール
HN:
Atsushi
自己紹介:
MSXでハンドアセンブルしていた時代から幾星霜。
パソコンにまつわる話題を中心に、デジモノ・時事ネタを取り混ぜて気ままに更新しています。
メールフォーム


Copyright © [ something blue :: blog ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]