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以前の記事で、どこでもニコニkお仕事マシンの購入を
計画中と書きましたが、ネット接続に何を選ぶかで
かなり思案中です。

動画視聴が目的ならば、コンスタントに2Mbpsくらいの
接続速度は維持したいところ。
サーバにデータを置いて「ビジネス用端末」として使う場合だと
もっと速度が欲しくなります。

しかし現実は厳しく、例えば理想値7.2Mbpsのイーモバイルも
実測では1Mbps前後しか出ないようです。
この速度でのMbpsな動画視聴は厳しいものになりそう。
1Mbpsと書くと速そうですが、実際は1秒で125KB。10MBの
ダウンロードに80秒かかってしまいます。
ビジネス用端末として使うにもストレスが貯まりそうな感じ。

というわけで出番なのが、来年以降にサービス開始予定の
LTE、WiMAX、次世代PHSの3つ。
いずれも無線で高速に接続するための新サービスです。


★★★


LTE(Long Term Evolution)はSuper 3Gとも呼ばれる方式。
従来の携帯電話(3G/3.5G)の次世代方式として提唱されています。

これは、4Gのための帯域が利用可能となるまでの間、
現状の3G/3.5G用の帯域に4Gの技術を適用して、より高速な
通信を実現しようというもの。
docomo、ソフトバンク、KDDIの3大キャリアが次期携帯に
採用する方式です。

下り100Mbps以上を目標とするということで非常に魅力的な
サービスなのですが、問題は各キャリアの戦略。
3社とも結局は「電話会社」なので、電話機以外の機器で
定額データ通信することは基本的に難しいはず。
現状でも、定額使い放題コースのように見えて、裏でこっそり
データ量・プロトコルで通信制限してるし。

これは、 通話品質確保のためデータ通信の帯域幅を制限する、
という目的もあると思いますが、もうひとつ

定額データ通信でskypeされたら電話料を徴収できない
定額データ通信でメール送られたらパケット料を徴収できない

というビジネスモデル上の
致命的な欠陥もあるためです。
なのでLTEも、
PC用のモバイル通信としては、ライトユーザ以外は
使いにくい(使えない)サービスになってしまうでしょう。
結局、キャリア各社が電話会社であることをやめないかぎり
携帯電話はずっと電話のまま。
当然といえば当然なのですが。



WiMAXは、簡単に言えば広域で使える無線LAN。
1つの基地局で、広範囲(大人数)と通信するための
変更を加えた無線LAN(802.11n)といったところです。
詳しく知りたい方は↓をどうぞ。
二次変調方式(OFDM/OFDMA)についての解説があります。

802.16(BWA)の標準化動向(3):IEEE 802.16e-2005におけるOFDM/OFDMA
(impress R&D, 2006/10/18)
http://wbb.forum.impressrd.jp/report/20061016/304

もともとWiMAXは、固定無線通信(つまり基地局と受信側が
動かない)前提で作られた規格です。つまり、過疎地などで
ブロードバンド回線を引くのが困難な場合、有線接続の代替と
なるよう策定されたもの。
これをモバイル向けにカスタマイズしたものが、今話題の
モバイルWiMAX(802.16e)です。intelやGoogleなどを中心に
国際的な標準規格とするよう推進しており、世界中で
WiMAXネットワーク構築の取り組みが進められているようです。

ただ現状であまり芳しい噂は聞かず、例えば提唱元の米国でも
複数社によるネットワーク共同構築計画が白紙になったあげく
ようやくサービス開始のめどが立ったようですが、

【CTIA WIRELESS 2008】
米Sprint Nextel、サービス開始間近のモバイルWiMAXサービス「XOHM」
(Impress Watch, 2008/4/3)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/21493.html

しかし「サービス開始間近」というだけで、具体的な日程は
8月末の段階でも、いまだ明らかになっていないようです。
というか

> 上り最大1~3Mbps、下り最大2~4Mbpsを公称。

公称の最大値に範囲があるとか怪しすぎる。
消防署の方から来ました、のほうが誠実に思えるレベル。
実測でイーモバイルとほぼ同じ速度が得られればラッキー、
くらいに考えた方が良さそうです。
米国に先駆け、韓国が国の総力を挙げて立ち上げたWiBroも
平均伝送速度は1Mbpsとのこと。
モバイルWiMAXの実力は、現状ではこの程度と考えた方が
良いかもしれません。
(将来的には改善されるかもしれませんが)

そもそもWiMAXのベース技術である無線LANは、外乱の多い
環境下で安定接続する目的には向いていません。
通信品質が低下した場合は速度を下げることで多少粘りますが、
結局は、電波的に良い環境(屋内やホットスポットなど)で
どれだけトップスピードを稼ぐかを目標とした通信方式なのです。
なので、屋外、しかも移動しながら使うような不安定な電波環境で
本当に実用になるかは、ちょいと疑問が残るところ。
基本的には屋外に設置した固定式アンテナで基地局と接続する
CATV・ADSL代用としての用途がメインなのではないでしょうか。

まあ、屋外無線LANの実験に関わったことのある身としては

・人混みの中で接続が不安定になる
・車が近くを通ると接続が(略
・雨が降ると(略
・通信が不安定な「魔のスポット」ができる(電波干渉?)
・ハンドオーバー処理が長い/不安定
・基地局の配置が難しい(たくさん置けばいい、というものでもない)
・電気食べ過ぎ

など、屋外で使うにはかなり厳しいイメージしかないので
無線LANベースのモバイルWiMAXは、個人的にはあまり
信用していなかったりします。
intelもそのへんの限界は分かっていて
「モバイルWiMAXは、無線LANと3Gのスキマを埋めるものだ」
なんてニュアンスでプレゼンしていたりします。

IDFで示されたモバイルを快適にする技術
(ITmedia, 2006/9/29)

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0609/29/news079.html

LTEが現実のものとなりつつある今、埋めなければいけないスキマが
本当に存在するかどうか、は読者の判断に任せますが。
問題は、ユーザがこの状況を正しく認識しているか、ということ。
「モバイルWiMAXゲッツ!どこでもモバイルできるぜー」
なんて考えてると痛い目を見るはず。
WiMAX事業者のプレス発表では↑を意図的に隠している感がありあり。
砂漠でオアシスを求めるがごとく、東京の夜空に流れ星を探すがごとく、
通信可能エリアを探して都会をさまようWiMAX難民の姿が
目に浮かぶようです。

また消費電力についての情報も全く出てこないのが怖いところ。
端末から遠く遠く離れた基地局にアップストリームの電波を
飛ばすためには、相応の電力が必要となります。
(基本的には、距離の2乗に応じた電力が必要になるはず)
大容量バッテリを積むことができる大型ノートPCならともかく、
少しでも重量・サイズを削りたいモバイルPCや携帯電話で
それだけの電力を供給できるかはかなり疑問となります。

※LTEも端末-基地局間の距離は長めですが、この問題を
解決するため、上り方向は電力食いのOFDMAではなく
よりシンプルな方式(SC-FDMA)を採用しています。



次世代PHSは、Willcomが推進する次世代のPHS(そのまま)。
こちらもLTEやWiMAXと同じOFDMAベースです。
WiMAXが大出力の基地局で広域をカバーする方針なのに対して、
次世代PHSは小出力の基地局を多数配置する、という違いがあります。
このへんは、従来の携帯/PHSの違いと同じですね。
多数の基地局を密接に配置しても、お互い干渉しないように
基地局同士でうまく自動調整し合うのがPHSのツボ技術です。
基地局-端末の距離が近いので、アップストリームの電波が
弱くてすむ(つまり低消費電力)のもメリットのひとつ。

多数の基地局を配置することで、利用者が多い地域でも
速度低下を簡単に改善することができる点が強み。
反面、設備投資額の予測が難しいのが欠点といえます。
(後から基地局を多数設置する必要があるかもしれない)

基本は電話なので、接続の安定という面ではWiMAXよりも
次世代PHSに軍配が上がります。
接続速度も、屋外の実証実験で20Mbpsを達成とのこと。
実運用では3割程度と考えて、実際は6Mbps出てれば良い、
くらいでしょうが、まあ現状では十分な速度。

ウィルコム、次世代PHSの実験で伝送速度20Mbpsを達成
(ITmedia, 2006/9/20)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0609/20/news031.html

次世代PHSの問題は2つ。
まず、次世代PHSはWillcomという1民間企業がそのほとんどを
開発しているという点。
当然、他方式と比べて開発リソースは限られてきます。
次世代のさらに先を研究開発し続ける余裕はあるのか、
特許問題などで係争となった場合、規格を守る体力があるかどうか、
そもそも半永久的にインフラを拡充・維持し続けること
自体可能なのか、
といった点でも不安は残るところ。

次に、現状でPHSは日本・一部アジア地域のローカル技術な点。
LTEやWiMAXが世界市場のスケールメリットを生かして価格攻勢を
仕掛けてきた場合に、どれだけ品質やサービスで対抗できるかが
今後生き残れるかどうかの分かれ目となる気がします。

むしろintelとケンカして次世代PHSを世界中に広める、くらいの
勢いが欲しいところですが・・・
携帯電話や地デジと同じ轍を踏まないためにも、提携や合併を
前提とした、国際的な大戦略が必要になるかもしれません。
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