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まず最初にこの地図を。




2つの国だけ色が付いています。さて何の地図でしょう。
エントリタイトルからピンとくる方もいるかもしれません。


DVB-T 欧州、オーストラリア、ロシア、インド、東南アジアなど
ATSC アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、大韓民国(一部T-DMB)
ISDB-T 日本、ブラジル
各国の地上デジタルテレビ放送規格


そう、地上デジタル放送でISDB-T方式を採用している国です。
多数の国が採用するDVB-T/ATSC方式ではなく、日本とブラジルだけが
オリジナルの方式を採用しているんですね。


独自路線を進めること自体は悪いことではありません。
規格を世界標準にすることができれば、世界の市場で有利に戦うことができます。
が・・・

権利関係により複数の標準化団体が入り乱れている
とか
・ARIB(社団法人電波産業会)
・D-PA(社団法人地上デジタル放送推進委員会)
・BPA(社団法人BSデジタル放送推進委員会)

B-CASをめぐる問題点を、まともに議論しようという雰囲気すらないとか
http://ja.wikipedia.org/wiki/B-CAS

どうにも、本気でISDB-Tを
世界標準とする気があるようには思えません。
(B-CASはISDBそのものではなく、運用方法に関わる話ですが)


結局のところ、強引に独自方式を進める理由は以下の2点かと考えます。

・国内市場の保護
非関税障壁により海外メーカーの国内市場への参入を防ぎ、
国内メーカーの利益を確保する

・受益者団体の保護
権利者によるコンテンツ保護および利用料徴収システムを強化する


何かどこかで聞いた話のような。

世界市場で完敗した携帯端末メーカー 日本独自規格を採用した郵政・NTTの戦略ミス

http://www.data-max.co.jp/2008/05/post_1182.html

日本のケータイは「世界一」といっても過言ではないだろう。
それなのに、撤退に次ぐ撤退だ。日本メーカーの携帯端末が
売れなかったのは、
企業努力が不足していたからではなかった。

理由は簡単。見た目は同じでも、日本と世界では通信構造が
まったく
異なっているためである。端的にいえば、郵政省
(現・総務省郵政事業庁)と
NTTが、世界標準に背を向けた
携帯電話の独自規格を押し付けたからである。

その結果、日本メーカーのケータイは日本でしか売れず、
世界ではまったく
売れなかったのだ。
日本の通信行政の戦略ミスが、携帯電話産業の世界市場での

敗北をもたらしたのである。

利権や思惑が絡んで独自仕様(PDC方式)を強引に推し進めていった結果、
国内メーカーは国際競争力を失い、結果としてケータイ事業のレースから
次々と脱落していきました。


携帯、京セラが中国撤退・日本勢、最大市場で姿消す
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/gyoukai.aspx?n=AS1C28004%2028012008

三洋電機が携帯電話事業を京セラに売却
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0710news-j/1011-3.html

三菱電機が携帯電話事業から撤退
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2008/0303-b.htm

ソニーがドコモ向け携帯電話事業から事実上撤退
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080310AT1D0900N09032008.html


まさに今、ケータイと同じ轍を、地デジは踏もうとしています。


しかもテレビはケータイと異なり、そう頻繁に買い替えるものではありません。
おサイフやGPS付いたから買い替えよう、というものではないんですね。
「地デジ特需」による一時的な売り上げ増を賄うための設備投資を行っても
日本国内に地デジテレビが普及してしまえば、その先はもうありません。

日本の家電メーカーは、安くて良いものを世界中に輸出することによって
これまで成長を続けてきました。
しかし、独自方式の地デジテレビは世界相手に売れるものではありません。
なおかつテレビ離れにより視聴率は年々低下しており、加えて少子化による人口減で
日本市場そのものが縮小しています。
このような状況の中、10社近くの巨大企業が設備投資に見あうだけのリターンを
得られるかどうか。

欧米の主要市場で地位を失い、世界最大市場の中国では全滅。
やむなく国内に閉じこもったものの、国内のケータイ市場はすでに頭打ち。
国内にひしめきあっていた携帯電話端末メーカーの淘汰が、一気に
加速することになる。
記事中の「ケータイ」という言葉が「地デジ機器」そして「家電一般」に
置き換わる日はそう遠くないのかもしれません。

後に残るのは、赤字で競争力を失った家電メーカーと、それらのメーカーが作る
魅力の乏しい高価な製品を買わざるを得ない一般消費者。
周りが全員blu-rayを使っているのに、自分だけHD-DVDを強制されている、
そんな状況を想像してもらうと分かりやすいかと思います。


ISDB-Tを世界標準とすべく、自分のサイフだけしか眼中にない寄生虫を切り捨てて
世界で通用する、より使いやすい規格を産官学が連携して作り上げていくか。
それともISDB-Tは捨てて他方式を受け入れるか。
日本が技術立国として本気で生き残りをかけるならば、このどちらかしかありません。


アメリカ先住民の言葉に、このようなものがあるといいます。
「物事を決定し行動するとき、7代先の子孫のためになるかどうかを考える」


短期利益の追求によって長期的戦略を欠くことがないよう、
過去から学ぶ謙虚さと、将来を考える想像力を、国内家電メーカーや
受益者団体の方々には持っていてもらいたいものです。
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